ニューヨーク旅情記


The Stanhopeの
ロビーにて

株式会社従心会倶楽部
代表 大谷 武彦

ニューヨークに行ってまいりました。
今から35年前建設会社時代に4年間滞在した所です。
当初、ニューヨークに現地法人を設立し、米国東海岸におけるビジネス展開を担当いたしました。 ニューヨーク現地法人の設立経営、ホテルの買収と経営、コンドミニアムの建設。ワシントンでは設計会社の経営、ボストンでの住宅開発。更にはマイアミやアトランタでのリゾート開発やコンサルタントなど多岐にわたっておりました。
帰任して歳月が流れました。今回は12年ぶりの訪問でした。当時苦楽を共にした米国の知人の殆どは移動、若しくは幽冥境(ゆうめいさかい)を異にしておりました。
携わった建築物、事務所、郊外の住居も昔のままの面影でした。
また心を込めてグランドゼロに赴いて合掌をしてまいりました。
演奏会、ミュージカル、クラッシック、美術館巡りなど、感慨一入なものがありました。
長い歳月の経過が一瞬にして胸中を駆け巡り、暫し呆然としたものでした。

Tobishima Associates Co. Ltd.(米国法人)

350park ave 。かって事務所を構えていたビル前面の道路は激しく人が行き交い、ビルに入るビジネスマンは颯爽と歩を進めています。つられて思わず中に入って苦笑しつつも奮戦した日々を一瞬思い出す のでした。

THE STANHOPE

995th ave (メトロポリタン美術館前)
1926年に創業したこのホテルは長い歴史の中で、アメリカ特有の開かれたグランドホテルとして世界の要の定宿となっていました。
1989年、chapter11案件になっていたのを買収。客室数142、内スイートは85室。高い付加価値を付けたホテルは要人に愛され続けていました。 ケネデイ家、ロスチャイルド家、オナシス夫人、ジーナ・ロロブリジーダなど多くのVIPに支持されました。
又、G7(主要国首脳会議)の財務大臣会合にも利用されたことでも知られています。
このホテルの総支配人ニール・トラボウイッチ氏は飛島社長がスカウトした優れた才能を有するホテルマネージメントの権威でありました。飛島章社長とニールはバーの片隅で口角泡を飛ばしてホテル論を展開していましたが、次々に成果を上げたころの姿が思い出されます。そのニールは現在は消息不明..
このホテルは 内装を大きく変えて、高級コンドミニアムに変貌を遂げましたが、今でもニューヨークの著名人に愛され続けております。

THE GOTHAM

このコンドミニアムはNYの老舗の不動産会社、zeckendorf.coとJVで開発しました 。アメリカのコミック、バットマンの架空都市ガッサムから命名したこの建物は、風格のあるコンドミニアムとしてすっかり地域に溶け込んでいました。
今は亡きゼッケンドルフ氏はニューヨークの第1級の企業経営者でした。私は、折に触れ郊外の別宅に招かれ、クラッシック音楽を聞きながら、ワインを傾け、含蓄のある話に感動したものでした。その部屋から庭の木々の隙間を通して眺めた星空は、今も心の片隅で思い出したように時折輝く。

グランドゼロ

2011年9月の米国を震撼させたテロで崩壊したツインタワービルの跡地に建てられたメモリアルに赴き、テロにて犠牲となった畏友 田中謙一郎様(富士銀行)に心より哀悼の意を捧げました。共に頑張った日々の追憶。
新しい建物も建築され、その日がまるでなかったかの様な厳しい初夏の日が輝いておりました。

Scarsdale村

ニューヨークから電車で1時間。その頃住んでいたScarsdale村は、あれから35年の歳月が流れて、緑一色の静かな村に変貌していました。道路脇の大木に身を託すると、リスが飛び回り、一瞬笑みを禁じ得ませんでした。 往時と同じ風景でした。