<建築・耐震診断グループ>「今の建物は安心?日本の耐震基準から学ぶ地震対策」誌上講義①

次の建築・耐震診断グループ セミナーは次のとおりです!
7月13日(水)18:00~「サービス付高齢者住宅整備事業について」
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当ブログによる誌上講義第2弾は、建築・耐震診断グループよりお送ります。
「今の建物は安心?日本の耐震基準から学ぶ地震対策」セミナーで、参加者の方の関心が高かった項目やご質問を中心にご紹介します。
講師は、1級建築士、元大手建設会社の構造設計部長である、耐震設計のプロフェッショナルです。
「旧耐震設計基準と新耐震設計基準とはどのような違いがあり、建物の耐震診断とは、どのようなものか教えて下さい。」
<講師>
まず、この図をご覧ください。これまでの大きな地震を表にしてあります。
耐震診断①-1 ← クリックで拡大
このように、わが国では、鉄筋コンクリート建築物に大きな被害が生じ、社会問題となった十勝沖地震(昭和43年-1668年)や、宮城県沖地震(昭和53年-1978年)、日本海中部地震(昭和53年-1983年)など大きな震災を受けるたびに「自然災害から新しい教訓を学び」耐震工学は進歩し、建築基準法等の法律が改正されてきました。
特に1981年(昭和56年)の建築基準法の改正では、大震災に対する安全性の確保が義務付けられました。1981年より前の基準を旧耐震設計基準、後の基準を新耐震設計基準といいます。
その後、皆様にも記憶に新しい兵庫県南部地震(平成7年-1995)、阪神淡路大震災が発生し、1981年(昭和56年)以前に建設された建物等が倒壊、大破などの深刻な被害を受けました。
この大震災により、1981年より前の基準による建物については、耐震診断および耐震補強による震前対策の重要性が強く再認識されました。
新耐震設計基準と同等の基準である「建物の倒壊や崩壊を防ぎ、人命に損傷を生じさせないものとする事」を目的として「建築物の耐震改修の促進に関する法律」が制定されました。   
 
耐震診断は現地調査データを基に建物の「強さ」「粘り」を計算して大地震(震度Ⅵ強程度) に対して建物の倒壊や崩壊する危険性を評価します。
耐震診断の結果、耐震補強が必要と判定された場合、居住者の意見、考え方、地盤条件、施工難度、費用等を勘案して補強方法を決定する必要があります。
一般的な補強方法は、以下のものがあります。
 (1)強度補強(耐震壁の増設、鉄骨ブレースの新設など)
 (2)靱性補強(炭素繊維補強、溶接金網補強など)
 (3)地震入力の低減(免震構造化、制震機構の組込みなど)
 (4)損傷集中の回避(スリットの新設など)
耐震診断①-2 ←クリックで拡大
<ご質問>
「一般住宅でも同じですか?
また、耐震診断というのはどこに依頼すれば良いでしょうか?」

<講師>
一般住宅についても、1981年より前の建物については、耐震診断をすることをお勧めします。
耐震診断は、1981年より前の住宅については、無料で耐震診断を行ってもらえる自治体がありますし、耐震診断を実施している事務所を紹介してくれるケースもあります。
また、耐震補強を行う場合に、一部、助成を行ってくれる自治体もありますので、まずは、みなさんのお住まいの自治体の建築部門の相談窓口で相談すると良いと思います。